極東貿易の取締役会が果たすべき責任

弊社及び弊社の運営するファンド(以下「ファンド」といいます。)は、極東貿易株式会社(以下「極東貿易」又は「当社」といいます。)の株主です。弊社は極東貿易に対し、株主価値向上のため、株主提案権を行使して います。株主提案の詳細についてはこちらをご覧ください。

巨大なネットキャッシュ

当社は2022年3月末現在、時価総額の6割に相当するネットキャッシュを保有しています。

(出所:QUICK ASTRA MANAGERより弊社作成。時価総額は2022/5/20終値から自己株式を除いて算定。ネットキャッシュ=現預金+税引後有価証券・投資有価証券-借入金-リース債務)

2021年3月末現在では、ネットキャッシュの内、保有目的が純投資目的である投資株式(以下「純投資株式」といいます。)は32億円に達し、これは時価総額の約2割に相当します。

このような多額のネットキャッシュ、特に多くの問題を抱える純投資株式の保有は当社の、株価が解散価値未満という割安な水準で放置される原因であると考えています。

(出所:QUICK ASTRA MANAGERより弊社作成)

純投資株式の保有が抱える問題点

弊社の考える純投資株式に係る問題点は以下の通りです。

  • ①純投資株式の保有によって、当社の資本効率性が低下していること
  • ②当社経営陣が、株式運用のスキルを有していないこと
  • ③純投資株式の保有は、本業に匹敵する事業規模であるにもかかわらず、定款の事業目的に定められていないこと

弊社は、資本効率性の観点から上場企業が純投資株式を保有することには全面的に反対しています。しかし、仮に当社が株式の投資運用を継続するのであれば、適切な体制を整備すべきであると考えます。

定款の事業目的に記載せず、投資運用の知見のある人材を採用せず、巨額の資産について取締役会での監視も行われず、適切な意思決定がなされている証拠の開示には応じない、当社のこのような体制は、純投資株式に保有することで損失が発生した場合、取締役がその善管注意義務違反を問われてもやむを得ないものと、弊社は考えます。

(1)資本効率性の低下

当社は現行の中期経営計画でROE8%の達成を目標に掲げていますが、リターンの低い上場株式を中心とした純投資株式の保有を継続する限り、ROE8%の目標は遠ざかるばかりです。実際に、当社のROEは長期にわたって低迷しています。

(出所:QUICK ASTRA MANAGERより弊社作成。ROEは税引後経常利益を用いて算定)

解散価値未満という当社の割安な株価は、ROEの低迷によって生じたものであると、弊社は考えます。

また、32億円もの純投資株式を保有しながら、そもそも当社には株式運用の経験を有する人材がいないことも、当社が抱える大きな問題です。

(2)株式運用体制の不備

当社取締役会は、監査等委員である取締役も含めて、当社プロパーの常勤取締役が5名、社外取締役が旭硝子出身の藤野氏、弁護士の貝塚氏、会計士の日高氏の3名の計8名となっています。当社は32億円もの株式を保有及び運用しながらも、株式の投資運用に関する知見を持った取締役は選任されていません。

弊社が丸木を取締役候補として提案した理由の一つは、このような当社の現状を鑑み、丸木の投資運用及び企業財務における知見及び経験が、当社経営陣に不足するスキルを補完し、当社の株主価値向上に資すると考えたからです。

(3-i)不透明な意思決定プロセス

上述の通り、投資運用業界の経験を持つ人材の不足を始めとして、当社における株式運用の体制は不十分であると弊社は考えます。そこで弊社は、実際に純投資株式の売買にあたって、インサイダー情報の管理等を含めた意思決定がどのようになされているのか確認するため、以下3件に係る資料の開示を当社に対して請求しましたが、当社はその開示を拒否しています。

  • 純投資株式の売買の検討に際して作成された資料
  • 純投資株式の売買の決定に際して作成された稟議書
  • 純投資株式の売買に係る社内規程(情報取扱規程を含むがこれに限定しない。)


一方で、当社は、純投資株式の個別銘柄に係る売買明細の開示には応じているのです。当社が情報取扱規程を始めとした社内規程の開示を拒む理由は、そもそも株式運用に係る社内規程の不備を自覚しており、開示によって株式運用体制の不備を改めて指摘されることを危惧しているからではないかと、弊社は疑念を抱いています。

(3-ii)事業目的ではない株式運用

当社にとって、純投資株式の保有及び運用事業は、セグメント区分された各事業と同等以上の事業規模となっています。それにも拘わらず、当社の株式運用体制の不備について疑念が生じているのです。

(出所:有価証券報告書より弊社作成)

しかし、当社は運用体制を整備しないだけでなく、定款の事業目的に「純投資株式の保有及び運用」と記載することさえありません。セグメント区分された事業と同程度の規模に達している投資運用をそのような状態で行うことは、定款所定業務の附帯的業務の範囲内とは認めがたく、弊社は、このような定款違反の状態を放置することは、当社の取締役が負う善管注意義務に反するものであると考えています。

そこで、仮に当社が純投資株式の保有及び運用を継続するのであれば、その運用体制を整備し、定款違反の状態を脱するためにも定款の事業目的に「純投資株式の保有及び運用」を追加することを提案します。

弊社は、当社による株式の投資運用に反対しているため、定款の事業目的に「純投資株式の保有及び運用」を追加する議案には反対票を投じます。

極東貿易の取締役会の皆様へ

当社取締役会には、定款の事業目的にも記載しないまま、純投資株式の保有を継続することが善管注意義務に照らして妥当か否か真剣に検討していただけることを期待します。万が一、純投資株式の過剰な保有によって、株主に約束した経営計画や業績予想が達成できなかった場合、あるいは株主価値を毀損する事態が発生した場合、取締役としての責任を問われる覚悟を持って経営に臨んでいただきたいと考えております。

(※株主提案の詳細についてはこちらをご覧ください)