ダイドーリミテッドの株主価値向上に向けて

株式会社ストラテジックキャピタル及び同社の運営するファンド(以下、総称して「SC」といいます。)は株式会社ダイドーリミテッド(以下「ダイドーリミテッド」又は「当社」といいます。)の株主です。SCはダイドーリミテッドに対し、株主価値向上のため、以下の取り組みを提案します。

提案概要

  • 提案1.現行のストック・オプションに係る開示を強化すること
  • 提案2.監査役に対するストック・オプションを廃止すること
  • 提案3.株式報酬制度の対象者や行使価格を定款に明記すること
  • 提案4.取締役に対し、現行のストック・オプションを廃止し、新たな株式報酬制度を導入すること
  • 提案5.自己株式の消却を行うこと

ダイドーリミテッドの現状

赤字が続く中核事業

ダイドーリミテッドの中核事業である衣料事業の売上高は継続的に減少(2018/3期はM&Aの影響で増加)し、営業利益は過去10年間で2019/3期を除き全て赤字となっています。結果として、連結ベースでも赤字が継続しています。

(出所:QUICK ASTRA MANAGER)

10年間で半分以下となった株主価値

株価についても、下落トレンドが継続し、過去10年間で、TOPIXは約2.5倍(配当込み)となったのに対し、当社は半分以下(配当込み)の価値になり、株主価値を大きく毀損しています。

(出所:QUICK ASTRA MANAGER)

なお、2022/10以降、株価が上昇しておりますが、当社のファンダメンタルズに大きな変化は見られておらず、SCが2022/10/13から当社株式の買い付けを始めたことが影響した可能性があると考えられます。

(出所:QUICK ASTRA MANAGER)

解散価値を大きく下回るバリュエーション

当社のPBRは約1.19倍となっておりますが、帳簿上の純資産額には、200億円以上ある賃貸等不動産の含み益が加味されておりません。賃貸等不動産の税後含み益を加味した修正PBRは約0.32倍と、解散価値である1倍を大きく下回っています

(出所:純資産額は2022/3期、賃貸等不動産税後含み益は、「(2022/3期 賃貸等不動産時価 - 簿価)×0.7」で算出、時価総額は2023/4/5時点)

(出所:QUICK ASTRA MANAGER)

ストック・オプション制度について

当社のストック・オプション制度の問題点

当社のストック・オプション制度(以下、「SO制度」といいます。)の概要は以下の通りです。

  • 行使価格が1円(株式を1円で取得する新株予約権が与えられる)
  • 付与株数は、役位別の総報酬を基に決定(株価が下がるほど、付与数が増える)
  • 権利行使期間は30年で、退任から1から5年以内に行使可能

つまり、経営陣の現役時代は株価が下がるほど付与数が増え、退任後、後継者が株価を上昇させることができれば利益が大きくなる設計であり、当社が掲げるSO制度の目的である「中長期の株価向上への動機づけ」に全く寄与していません
加えて、取締役の業務を監査する立場である監査役も付与対象としており、制度設計、付与対象者共に問題点があります。

(出所:当社有価証券報告書よりSC作成)

年々増える付与株数

実際に、現行のSO制度導入後、株価は大きく下がっており、その結果、現行制度導入時の2006年に19,700株だった付与数は2022年には92,500株まで増加しています。

(出所:当社有価証券報告書よりSC作成)

株主価値の毀損、従業員の希望退職・株式給付信託の価値毀損

当社がSO制度を導入以降、当社の株価は翌年に1,800円を超えたことはありますが、それ以降低迷を続け、2023年4月5日現在で258円と、大幅に下落しています。
また、中核事業である衣料事業の赤字が続いていることもあり、従業員に対しては2017年以降150名を希望退職させたことに加え、従業員に対する株式給付信託は、2009/4/1に428,500株、2012/12/13に1,500,000株の拠出以降、追加拠出はありません
このように株主に対しては株価低迷により株主価値を毀損し続け、従業員に対しては業績悪化により希望退職を求め、株価低迷により株式給付信託の価値を毀損させておきながら、経営陣だけは行使価格1円で行使でき、必ず利益を得られるSO制度を享受してきたわけであり、到底看過できるものではありません。

(出所:QUICK ASTRA MANAGER)

(出所:当社有価証券報告書よりSC作成)

ストック・オプションに係る提案内容

そこで、SCはストック・オプションに関し、下記の提案を行います。

まず、役員が現在保有するストック・オプションの保有数や指名報酬委員会の審議内容を開示し、透明性を高めていただきたいと考えています。次に、監査役については、「取締役の職務の執行を監査すること」が役割であり、SO制度の対象として相応しくないため、現行のSO制度の廃止を提案します。また、株式報酬制度の対象者や行使価格を定款に明記していただくことを提案します。
取締役に対しては、現行SO制度の廃止を条件に新たな株式報酬制度の導入を提案します。新制度は、PBRと連動した株式報酬制度ですが、PBRの算出に用いる1株当たり純資産の金額は、代表取締役社長の鍋割宰氏が当社取締役に就任する直前の2019年3月期の1株当たり純資産の金額である487円としています。これは、当社の1株当たり純資産の金額が近年減少していることから、鍋割氏が取締役に就任した時点の簿価を基準とした解散価値であるPBR1倍を超えていただきたいという理由によるものです。
提案株主としては、当社取締役会に対し、全体の株式付与数及び年間上限額の範囲内で、取締役に加え執行役員にも同様の報酬制度を導入することを期待しており、全社一丸となって株主価値向上に取り組んでいただきたいと考えています。なお、現行のSO制度は前述の通り様々な問題点があり、取締役、監査役、執行役員が現在保有するSOについては、自主的に放棄していただくことを期待しています。

自己株式の消却

発行済株式の約9.5%に相当する自己株式

当社は2022年3月末現在、株式給付信託を除いても、約360万株もの自己株式を保有しており、これは発行済株式総数の9.5%に相当します。
当社が自己株式を大量に保有し続けているこの状況は、株主にとっては、いつでも当社株式の希薄化が行われ得るということを意味しており、速やかに消却していただきたいと思います。

(出所:当社有価証券報告書よりSC作成)

新着情報

2023.5.8.株主提案が不受理となったことを発表しました。